有名なお花は?と聞かれて「バラ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
愛や献身といった女性らしさの象徴として、バラは古来より人々に愛され続けています。 豊かな色合いや優美な見た目、その芳しい香りは人々を魅了し、シェイクスピアは彼の小説の中で何度もバラにちなんだ文章を書き、クレオパトラはバラの香りで船を飾り立てていました。他にも、マリリンモンローやダイアナ妃、グレースケリーといった華やか女性達は、バラをベースにしたオリジナルの香りをまとっていたことでも知られています。 バラは、その香りや輝きやオーラで、私たちをロマンチックで夢心地にさせてくれます。
地球上には数千種類のバラがありますが、実は香りを持つものはその中のごく限られた数種類のみです。園芸でも人気のあるガーデンローズは香りを持つバラのうちの一つです。その優雅な香りを一度嗅ぐと、誰しもが虜になってしまうことでしょう。 香料として使われる最も有名なバラはロサ・ダマスケナとロサ・ケンティフォリアという種類です。この2種類のバラは年に一度しか開花しない上、香料を作れるような品質の花を咲かせるまでに3年かかります。5月中旬から6月中旬の朝8時前に、成熟したピンクの花びらを摘み、蒸気蒸留もしくは溶媒抽出法でエッセンシャルオイルを抽出します。その後、芳香蒸留水やローズウォーターで香りのバランスを整えます。 様々な香りの要素がバラ本来のエレガントさやあたたかみのある香りを際立たせ、一つの香料として完成されます。 約0.1kgのエッセンシャルオイルを抽出するには、約1,000kgが必要です。そのため、バラのオイルはとても貴重で、高価なものになっています。
バラの香りも、ワインのように元の花が育った地形と土地に影響を受けます。同じバラの香りでも、フレッシュで新鮮な印象から、滑らかで甘いもの、スパイシー、豊潤さ、弾けるようなものまで様々です。 例えば、バラの一種であるロサ・ダマスケナは、トルコ産は花びらが濃いピンク色で、フローラルグローンのフレッシュな香りが特徴ですが、モロッコ産の花びらはより褐色がかっており、干し草のようなスパイシーな香りが特徴です。 バラの産地としては、トルコ、モロッコ、インド、ロシア、モルドバ、エジプト、フランスなどがありますが、中でもブルガリアのバラの谷と呼ばれる場所は天候と風に恵まれており、高品質なバラが育つ有名な場所です。
驚くことに、もっとも古いバラの化石は約5000万年前のもので、アメリカのコロラド州で見つかりました。これはこの地球上でバラが永く愛され繁栄してきたことの証でもあります。バラのエネルギーを通して、この地球の雄大さを感じることができます。バラが象徴している愛や美しさというものは、私たちの命や人生そのものであるように思います。美への賞賛は私たちの心を突き動かし、愛は人生を変えうる大きな力を持っています。思いやりや優しさは私たちを強く結びつけ、より大きな愛を受け取る、広い心が育まれていくのです。